押忍!一男塾(ブログ塾) 塾長の一男です。
学歴最下位から大企業で10年以上トップ昇進を続ける現役サラリーマンです。
塾の運営方法や一男の詳細なプロフィールを知りたい方はこちらを参照ください。
記念すべき初回の講義は、一男が一押しの「ウェルビーイング(well-being)」について、その定義や考え方、必要となる条件・要素から、今必要とされる理由まで、徹底解説をします。
- そもそもウェルビーイングって何?
- 最近言葉は聞くけど、結局よくわかっていない。
- 意味は知っているけど、どうしたら実現できるの?
そう思っている方も多いのではないでしょうか?
ポストSDGsとも言われているウェルビーイング。これから先の時代を生きるにあたって、もうウェルビーイングを避けて通ることはできません!
今日の講義を受ければ、ウェルビーイングとは何か、その実現方法まで確実に理解できます。
これからの時代を生きる上で、避けては通れない「ウェルビーイング(well-being)」の基本的な内容を、必要となる条件・要素に重点を置いて、網羅的に押さえることができます。
実現方法(必要となる条件・要素)は、この記事を見れば他のサイトは見なくて良いように、様々な分野から紹介しています。
時間がない方は、目次から直接気になる項目を選んでください!
ウェルビーイングとは?
最も代表的なのはWHOの定義です。
それ以外にも言い方や解釈が少し異なる場合があるので、よく取り上げられる定義も以下にまとめました。
WHOでの定義
世界保健機関(WHO)憲章の前文では、
「Health is state of complete physical, mental, and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity」
(健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。)
※日本WHO協会(訳)
つまり、「ウェルビーイング ≒ すべてが満たされた状態」と定義されています。
このWHOの定義が日本では最も有名なウェルビーイングの定義になります。
英語の意味(直訳)
それぞれの単語を直訳すると、
well → 満足に、良く、上手に、申し分なく、十分に
being → 〜であること、存在すること
合わせると、「well-being ≒ 良い状態であること、満足な状態であること」と解釈されます。
ウィキペディア
困ったらウィキペディア・・・ということで、こちらには
ウェルビーイング(英:Well-being)とは、誰かにとって本質的に価値のある状態、つまり、ある人にとってのウェルビーイングとは、その人にとって究極的に善い状態、その人の自己利益にかなうものを実現した状態である。
一言でいうと、「ウェルビーイング ≒ 究極的に善い状態」と解釈されています。
専門家などの解釈
参考までに、ウェルビーイングに関して研究している方、専門的に取り扱っている方が、よく端的に表現しているのが、
「ウェルビーイング ≒ 幸せ・幸福」です。
「幸せ」と聞くと、一般的には「ハピネス」を想像する方が多いのではないでしょうか?
では、ウェルビーイングとハピネスの違いは何でしょうか。
人によってニュアンスが若干異なることはありますが、概ね以下のような違いがあります。
ウェルビーイング ≒ 多面的で継続的な持続性のある幸福
ハピネス ≒ 感情的、単一的で一瞬しか続かない短期的な幸せ。例)お金や地位など。
一男は、「より良い状態であり続けること」「幸せであり続けること」と解釈しています。
ウェルビーイングの実現方法(必要な条件・要素)

ここまでは、ウェルビーイングの定義や解釈を解説しました。
本当に「幸せ」になれるなら、その条件・要素を知りたい!そう思った方もいるのではないでしょうか。
反対に、「幸せ」と聞くと、どうしても怪しい感じや、非科学的なイメージを持つ人もいますよね?
そもそも、「幸せ」なんて実現しようと思ってできるようなものではないと思う人も・・・
安心してください!!
皆さんが一番知りたい実現方法は、科学的根拠、或いは実証実験などに基づき解明されています。
分野や専門家などによって定義していることが異なるため、以下にまとめました。
ウェルビーイングの実現に必要となる条件・要素を、ここまで網羅的にまとめている記事は、他にはないと思うので、是非確認してください。
ギャラップ社のウェルビーイングの「5つの構成要素」
最初は、世界最大の世論調査会社でありウェルビーイングの調査で有名なギャラップ社が、5つの構成要素を提唱しているので紹介します。
ちなみに、よく話題に上がる「世界幸福度ランキング」は、ギャラップ社の世論調査で幸福が定義され、国連がそのデータを活用した「世界幸福度報告」を元に決めています。
※日本の世界幸福度ランキングは56位となっています
キャリアウェルビーイング(Career well-being)
仕事が良好である状態です。
仕事の経歴や実績、役職のほか、ボランティア活動、趣味なども要素が含まれます。
仕事を好きだと感じ、熱意を持っている、やりがいを感じていることは、幸福と関係性があります。
ソーシャルウェルビーイング(Social well-being)
人間関係が良好である状態です。
家族、友人、職場の同僚、上司など自分を取り巻く人々と、信頼関係や愛情のある深い関係を結べているか、広い交友関係があるかなどの要素が含まれます。
人間は社会的な動物であり、孤独は幸福に大きな影響を与えます。
フィナンシャルウェルビーイング(Financial well-being)
経済的に良好である状態です。
安定した収入を得ているか、資産を確保しているかなどの要素が含まれます。
ある程度のお金は幸福と相関関係があります。
フィジカルウェルビーイング(Physical well-being)
身体的に良好である状態です。
身体は健康か、運動などをしているかなどの要素が含まれます。
健康はやはり幸福のベースになっています。
コミュニティウェルビーイング(Community well-being)
地域社会との関係が良好である状態です。
家族、友人、学校、会社、部署など自分が属しているコミュニティなどの要素が含まれます。
社会へ貢献することで、自分の幸福も向上します。
ポジティブ心理学の幸せを構成する「PERMAモデル」
次は、ポジティブ心理学で有名なマーティン・セリグマン博士が提唱した、ウェルビーイングの構成要素を紹介します。
頭文字をとって「PERMA(パーマ)」と呼ばれています。
ポジティブ感情(Positive)
前向きな明るい感情のことです。
心理学者のバーバラ・フレドリクソン氏は、代表的なポジティブ感情として以下の10種類を上げています。
これらの感情が日々の生活の中で感じられると幸福感が上がります。
喜び:思わず笑顔になるような感情
感謝:与えられた何かについてその価値を認めたときに湧く感情
安らぎ:今の心地よさをじっくり味わっている感情
興味:新しい物事に関心を抱き、心を突き動かされる感情
希望:絶望的状況の中で、可能性を信じる感情
誇り:自分の能力と努力を信じて何か上手くできた時の感情
愉快:心から面白いと思った時に湧いてくる感情
鼓舞:奮い立つような感情が湧いて心が熱くなっている感情
畏敬:鼓舞よりも、スケールの大きい素晴らしさに出会った時に感じる感情
愛:相手への興味から始まり、様々な喜びをもたらしてくれる感情
熱中(Engagement)
時が立つのを忘れるほど何かに熱中している状態をフローと呼び、幸せに深く関係していることが明らかになっています。
人間関係(Relationship)
人は誰かと結びつきを感じた時に幸福を感じます。
一人でいる時の方が安心できるという人もいますが、あくまで短期的なものです。
長期的な目で見ると、必ず誰もが人との結びつきを求めています。
安心でき、温かい人間関係があると人の幸福度は向上します。
意義(Meaning)
人は何の意味も感じられないことをやっていると大きなストレスを感じます。
人は意義が感じられないことを続けることは絶対にできません。
しかし、不思議なもので、どれほど大変で辛くて苦労するようなことでも、それを上回るだけの意義や意味を感じることができれば、人は幸福感すら感じることができます。
これが俗に言う「生きがい」と呼ばれるものです。
達成感(Achievement)
仕事でも趣味でも、目標達成のためにやり遂げた時、大きな達成感を感じ、幸福に感じます。
さらにやり遂げたことが自信になり、新たなことに挑戦する勇気が湧いてきます。
ハーバード大学が出した幸福の結論
ハーバード大学が、1938年から約80年、724名の男性を調査し続けた史上最も長期間にわたって成人を追跡した研究があります。
その結論は「良好な人間関係こそ幸福と健康の秘訣」ということです!
この人間関係について、研究から3つの教訓が得られています。
1つ目の教訓
「社会的なつながりが大切で孤独は命取り」
- 家族、友人、地域社会との関係といった、社会的なつながりが豊かな人ほど、幸福で健康で長生きしている。
2つ目の教訓
「友人の数ではなく親密な関係の質こそが大切」
- 愛情に満ちた良好な関係は私達を守ってくれる。50歳の時に人間関係に満足していた人が80歳の時に最も健康であった。
- 良質で親密な人間関係こそが、老いの攻撃から私達を守ってくれる。
3つ目の教訓
「良好な関係は身体を守るだけでなく、脳も守る」
- 必要なときには助けてくれると、相手に絶対の信頼を寄せていた人の記憶はしっかりしていた。
- 一方相手に頼ったりできないと感じる人間関係だった人は、記憶力が低下するのが早かった。
- 常に良好である必要はなく、お互いを頼りにしていれば、厳しい状況になっても、争いによって記憶を損なうことにはならない。
ではなぜこの良好な人間関係を築くことが難しいのか、どうすればいいのでしょうか。
- それは我々が人間であり、できるだけ手早く、手軽な方法に飛びつきがちだから。(それが人生を幸福から遠ざける。)
- 人間関係は複雑で、面倒で、家族や友人のために努力するのは、ちっとも魅力的でなく、一生涯続けなくてはならない。
- 最も報われた人は、富や名声ではなく、家族や友人、地域社会との人間関係を大切にしたひとばかりだった。
- 電子画面とにらめっこするより、人と向き合ったり、一緒に新しいことを始めて関係を深めることが大切。
- 最後の言葉、「争いごとや謝罪や嫉妬に対する申し開きをするなんて命はあまりにも短い。人には愛するための僅かな時間しかないのだ」
気になる方は、You Tubeで「TEDカンファレンス幸福」と検索すると、「The Good Life|Robert Waldinger|TEDxBeaconStreet」のタイトルで説明動画がでてきますので、見てください。
石川善樹さん(予防医学研究者)主観的※ウェルビーイング
次は、日本のウェルビーイングの第一人者であり、一男も尊敬する予防医学研究者の「石川善樹さん」の主観的ウェルビーイングの実現方法を紹介します。
様々な媒体で発言されている内容を、一男なりにまとめました。
※客観的ウェルビーイングはGDP(国内総生産)や、平均寿命など。過去は客観的ウェルビーイングしか測定していなかったが、現在は主観的ウェルビーイングにシフトしている。
① 主観的ウェルビーイングの要素⇒主観的な「体験」と「評価」
② 影響を与える最大要因⇒「人生の選択肢と自己決定」
③ 必要となる社会的条件⇒経済発展、民主化、社会的寛容
①「体験」と「評価」
主観的ウェルビーイングは、主観的な「体験」と「評価」の2つの要素があります。
このうち「体験」は以下のように整理されています。
ポジティブ体験
- よく眠れた
- 敬意をもって接された
- 笑った
- 学び/興味
- 歓び
ネガティブ体験
- 体の痛み
- 心配
- かなしい
- ストレス
- 怒り
更にこの中で、特に組織に対して大きな影響を与える体験は、「敬意をもって接された」「笑った」の2つです。
結果、よい組織の枠組みには、「評価」「笑う」「敬意」の3つが重要だということが言えます。
この3つに関して、石川さんが具体的なアクションを教えてくれているので紹介します。
(評価を高めるためには)
- 個人レベルでの1日の終え方が重要
- どんなに良い体験をしても、その日の最後が最低の評価で終わると、その人にとっては良い状態ではなくなる
- 1日の最後に評価を高めることで良い状態がつくれる
(具体的アクション)
- 「To Do」ではなく「To Feel」を振り返ること
- 現代の仕事において「To Do」が終わることはないので、これを振り返ると、今日も終わらなかったと良くない評価になる
- 何が印象に残ったかを振り返る「To Feel」は、良し悪しによらず、印象を振り返るだけで、自然と評価を良くしようという力が働くことがわかっている
(体験を高めるためには)
- 雑談を増やすことが重要
- 雑談を増やしたほうが生産性も上がるし、健康にも良い
(具体的アクション)
- 一見無駄のようにも見える「雑談」をとにかく増やす(笑)
(体験を高めるためには)
- 信頼の文化が重要
(具体的アクション)
- 信頼を生む3つの質問を聞くと良い。聞く前には聞く側の自己開示が大切になる
- ①「仕事」は順調ですか?(例)日々の仕事で学びや変化はありますか?
- ②「志事」は順調ですか?(例)あなたの人生は、前に向かっていますか?
- ③「私事」は順調ですか?(例)あなたや家族は幸せですか?
②「人生の選択肢と自己決定」
適切な数の選択肢があって、その中から自己決定できるかどうかが、主観的ウェルビーイングにおける最大要因であることがわかっています。
ポイントは、選択肢は多すぎては駄目で、「適切な数」であることが大事になります。
一男も、全ての要素の中でこの「主体的選択」が最も重要だと認識しています
③ 「社会的寛容」
「人生の選択肢と自己決定」のために必要となるのが、社会の寛容性の高さであり、区別差別しないことになります。
特に大切なのは、困った時に助けてくれる人がいること ≒ 自分にとって居場所があるかどうかです。
居場所の数が沢山あることが、ウェルビーイング関連指標(自己肯定感、今の充実感、将来への希望、チャレンジ精神、社会貢献意欲)の向上と相関があることがわかっています。
居場所が多いと寛容性も高まり、逆に居場所がなくなっても、他の居場所にいけます。
日本は、本当に困れば生活保護など助けてくれる制度がありますが、少し困ったときに頼れる、助けてくれる制度が極端に少ないのが特徴です。
矢野和男さん(ハピネスプラネットCEO)ウェルビーイングな組織
次は、ハピネスプラネットCEOであり日立製作所フェローでもある矢野さんのウェルビーイングな組織の実現方法について紹介します。
矢野さんと言えば、ウェルビーイングのデータをウェアラブルセンサで体温のように測定していることで有名です。
幸不幸はどこからくるか
実現方法の話をする前に、そもそも、幸不幸はどこからくるのか、という研究結果があります。
- 50%⇒変わりにくい幸不幸(遺伝・幼児期)
- 40%⇒持続的な幸不幸(幸せになる力)
- 10%⇒一時的で持続しない幸不幸(境遇、ボーナス他)
幸不幸の50%は遺伝などの変えられない要素、さらに10%は周囲からの評価などの境遇です。
裏を返せば残りの半分近くの持続的な幸せ(=ウェルビーイング)は、自分自身の訓練で向上可能ということを示しています。
個人の前向きな心(心の資本)=HERO(ヒーロー)
個人のウェルビーイングには、20年に渡る研究で4つの力が重要で、頭文字をとってHERO(≒前向きな心)と呼ばれています。
①Hope(希望):道は見つかると信じる力
- 「実験と学習」により道をつくる
- 資源は自ら獲得する
②Efficacy(自己効力感):現実を受け止めて踏み出す力
- 既に持っているもので始める
- 慣れない人や場に臆せず交わる
③Resilience(強靭):困難に立ち向かう力
- 損失の覚悟を決める
- 困難を学びの機会にする
④Optimism(楽観性):どんな状況も前向きに楽しむ力
- 偶然の機会や出会いを活かす
- 変化の中にチャンスを見出す
HEROは、楽で緩い状態ではなく、いかなる困難に対しても、前向きに立ち向かっていく状態のことです。
組織の信頼できる関係(心理的安全性)=FINE(ファイン)
組織としてのウェルビーイングに関して、ウェアラブルセンサなどの行動データの分析から、4つの特徴を発見し、頭文字をとってFINE(≒心理的安全性)と呼ばれています。
①Flat(均等):人同士の繋がりがフラット
- 特定の人が繋がりを独占せず、色々な人たちとより均等に近く繋がっている状態。
②Improvised(即興):5分程度の短い会話が頻繁
- 仕事の中ででてくる些細な疑問などを、周りの人に率直に話せる環境が醸成されている。
③Non-verbal(非言語):会話中に体がよく動く
- ジェスチャーなどの要素は言葉より遥かに強い影響を与える。相手に共感や信頼を感じると、体の動きが相手に合わせて同調し、活発になる。
④Equal(同等):発言権が平等
- 新人やベテラン、専門性の有無に関わらず発言する機会が平等に与えられる。
FINEは、楽で緩い環境ではなく、様々な変化や困難にも、互いに信頼し高め合う状態のことです。
自分だけ幸せでは駄目で、自分も周りも幸せでなければいけないということです。
組織の幸せの本質=Hopefulness(ホープフルネス)
個人のウェルビーイングであるHOPEと、組織のウェルビーイングであるFINEをまとめた組織の幸せの本質がHopefulnessです。
つまり、幸せな(=変化に前向きに挑戦(実験と学習))組織には、HEROを持つ人々を高める支援と、FINEを醸成できるような組織運営や制度の整備が必要になります。
一言で言えば「前向きな1日を周りと応援し合ってつくること」です
最後に、そんなHopefulnessの組織をつくる4つの原則が以下のようになります。
第一の原則=目的の追求
- 目的と状況に応じて行動を変える。
第二の原則=行動指針の共有
- 行動指針を共通言語化(Hopeful Map※)する。
第三の原則=学びの継続
- 成否に惑わされず、学びを成果とし継続する。
第四の原則=決意の共有
- 「挑戦=幸福」の対象を決め、周りと共有する。
※とても参考になるので、個別に次章で解説します。
行動指針の共通言語化(Hopeful Map)
個人が具体的に前向きな1日を始めるにはどうすればいいのかを、言語化したのがHopeful Mapです。
4つの大きな項目と、その中に更に具体的な4つの要素があり、計16の要素により構成されています。
〜【HOPE】自分の意思を持って行動し、成長する〜
- 踏み出す【検討はほどほどに、糸口が見えたら行動する】
- 始める【自分の直感に従い、ともかく最初の一文字を書く】
- 越える【役割や資源は、新たな実績によって獲得する】
- 交わる【立場や我欲を越えて周りのために行動する】
〜【HOPE】どんな時でも自分らしさを大切にする〜
- 覚悟する【不確実や矛盾を引き受けることを覚悟する】
- 受けとめる【現実を直視し、やるべきことを素直に受けとめる】
- 立ち向かう【困難には立ち向かい、学びの機会にする】
- 求める【先走らず、今の一歩に集中して進める】
〜【FINE】互いの理解を深め高め合う〜
- 協調する【協力者をつくり、異質なことを三角形でつなげる】
- 結束する【自分が持つつながりの価値に気づき、笑う】
- 協創する【未来へのストーリーを共に描き、共につくる】
- 対等になる【意見や立場の違いを受けとめて対話する】
〜【FINE】互いを尊重することで、感謝し、感謝される〜
- 教わる【心を開いて、異質な視点から教わろうとする】
- 信頼する【「旅」の落ちつかなさを前向きに楽しむ】
- 感謝する【成長のための困難と関係者に感謝し、立ち向かう】
- 心開く【異質なものに対し積極的な意味で一旦引き、機を探す】
これらを習慣化していくことが大切になります。
矢野さんは、「Happiness Planet」というアプリを使って、実証実験をしています。内容は以下の通りです。
※アプリは基本法人向けで、フリーで利用できるのは、お試し程度の機能だけです。
- Hopeful Mapの16要素のメニューを作成(雛形を元に追加・修正)
- 朝、ランダムで16要素から一つが選ばれる
- 選ばれた要素から実際にその日にやる中身を決め宣言・共有する
- 日中、宣言したことを実践する
- 夕方、その日の学びを報告する
- 周りに「ありがとう」を送付する
結果は、33%の心の資本が向上し、これは経営学の換算式で10%の利益向上に相当することが証明されました。
特に、やる中身は20文字以上の具体的な内容を書くことがおすすめです。
こんなことで本当にウェルビーイングが向上するのかと疑う人もいると思います。
人間には、ストーリーをつくる力があり、これはヒトをヒトたらしめているモノです。
1日のはじまりに、前向きな行動を決め、宣言し、実践することは、このストーリーの力を大いに引き出してくれます。
是非皆さんもやってみてください。
前野隆司教授(慶應義塾大学)ウェルビーイング研究結果
次は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野教授のウェルビーイングに関する研究結果について紹介します。
前野教授は、ウェルビーイングに関して、心理学をベースとした研究を行っており、どうすればウェルビーイングが得られるかを追求しています。
日本人の幸せの4つの因子
現在世界中で、幸せに関する研究が行われており、幸せに影響する要素も100も200も判明しています。
その中で、前野教授は日本人1,500人にアンケートを行い、その結果を因子分析して得られたのが、ここで紹介する日本人の幸せの4つの因子です。
①やってみよう因子
ワクワクいきいきやっている人は幸せで、やらされ感でやっている人は幸福度が下がります。
まずはやりがいを見つけることが大切ですが、やりがいがない人は、どんなに小さなことでもいいので、やってみる・チャレンジしてみることが大切になります。
チャレンジすると、成功したり・失敗したりしますが、これは成長しているということで、勉強や学びなど新しいことを覚える、成長する人は幸福度が高くなります。
②ありがとう因子
感謝をする人は幸福度が上がります。
何かを達成して、「俺がやった」と威張っている人と、「みんなのおかげ」と感謝する人なら、後者の方が幸福度が高くなります。
つまり、自分のことしか考えない利己的な人は幸福度が低く、周りのことを考えられる利他的な人は幸福度が高くなります。
この因子には、友達の数も関係します。
少ないよりは多いほうが良いですが、それよりも多様な人と繋がっていることが幸せになります。(親友もいれば、薄い関係の友だちもいるなど)
③なんとかなる因子
前向きで楽観的で、少しくらいは何とかなると思っている人は幸せになります。
いかにリスクを選択できるか、石橋を叩いて渡る人は幸福度が低くなります。
④ありのままに因子
自分と他人を比べない人は幸せになります。
他人に勝って「カネ・モノ・地位」を手に入れても幸せは長続きしません。
他人に負けると「悔しさ・妬み」などから幸福度がさがります。
自分は自分、他人は他人、自分らしくいることが幸せになります。
脳の3大幸福物質
最後は、「脳の3大幸福物質」について紹介します。
ウェルビーイング≒幸福、ということで、より科学的根拠に基づくなら、脳内で分泌される幸福物質の出し方を知れば、ウェルビーイングに近づけるということです。
ここでは、3大幸福物質と呼ばれる「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」の、概要と分泌方法を紹介します。
樺沢さんの著書「精神科医が見つけた3つの幸福論 最新科学から最高の人生をつくる方法」より、要点だけ紹介します。
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①セロトニン
穏やかな気持ちの幸福感をもたらすのがセロトニンです。
心身の健康に関するのが、セロトニン的幸福とも言えます。
- 朝の散歩して「気持ちいい」
- 朝起きた日の光で「気分が爽やか」
- 自然に囲まれて「癒やされる」
こんな「当たり前」に聞こえることが、「かけがえのない幸福」になります。
失ってはじめてありがたさを知るのが、心身の健康に関するセロトニン的幸福になります。
②オキシトシン
愛に包まれた幸福感をもたらすのがオキシトシンです。
繋がりと愛情に関するのが、オキシトシン的幸福とも言えます。
- 友達と一緒に遊んでいて「楽しい」
- 家族と一緒に過ごして「安らぐ」
セロトニンが自分一人で感じられるのに対し、オキシトシンは相手が必要となります。
相手との安定した人間関係で生まれる感情や喜びは、オキシトシン的幸福になります。
③ドーパミン
胸がドキドキするような高揚感をもたらすのがドーパミンです。
達成や成功に関するのが、ドーパミン的幸福とも言えます。
- 大会で優勝して「嬉しい」
- 目標を成し遂げて「達成感」を味わう
ドーパミンは金・モノ・地位など何かを得る必要があります。
つまりなにかの「対価」を得て生まれる感情や喜びは、ドーパミン的幸福になります。
ドーパミンは、「依存症」の物質でもあるので注意も必要です。
お酒、ギャンブル、ゲーム、スマホなど手軽に手に入る「快楽」で、ドーパミン的幸福を得ようとはまってしまうと、「依存症」になります。
3大幸福物質の優先順位
紹介した3大幸福物質を全て手に入れている人は中々少ないのではないでしょうか。
何故かと言うと、3つの幸福を得るには順番が非常に大切になるからです。
結論は、「セロトニン的幸福」⇒「オキシトシン的幸福」⇒「ドーパミン的幸福」です。
順番を間違えると、かえって不幸になってしまいます。
例えば、ドーパミンを優先して頑張り続けた結果、身体を壊す、メンタルになるなどです。
セロトニン、オキシトシンというベースの上に、ドーパミンを築いていくことが非常に大切になります。
ビジネスでウェルビーイングが求められる訳
よく、ウェルビーイングのキーワードで検索すると、注目される背景として、
- 多様性や人材不足
- 働き方改革
- コロナの影響
- SDGs
- 離職率
- エンゲージメント
といかにもそれらしいことが書かれている記事が多いです。これらの内容も勿論間違っている訳ではないですが、本質的に必要とされる理由は、
☑個人としてみたときに、大切にすることは究極「ウェルビーイング」しかない
☑会社は人が最も大切だと言っている以上、最優先は「ウェルビーイング」しかない
からだと一男は考えています。
とは言え、客観的なデータが欲しい人もいると思うので、幸福度が様々な観点の成功に繋がることを示した結果を載せておきます。
生産性:20〜40%程度向上
従業員満足度:29〜50%向上
離職率:25%減少
社内評価:17〜47%向上
年収:3〜24%向上
【参考元】Lyubomirsky, S., King, L., & Diener, E. (2005). The Benefits of Frequent Positive Affect: Does Happiness Lead to Success? Psychological Bulletin, 131(6), 803–855.
また、勘違いされやすいのが、「働きやすさ」「働き方」を改善すればウェルビーイングが向上するという考え方です。要素としては必要ですが、大事なのは「働きがい」を改善することです。
サラリーマンとウェルビーイングの関係
ここまで読んで、サラリーマンの自分もウェルビーイングになれるものならなりたいと思った方もいると思います。
ここまでに紹介した内容を意識しながら生活するだけでも、皆さんのウェルビーイング度はかなり向上すると思います。
一方で、まだ抽象的であったり、もっと実践的な方法を知りたい方もいると思います。
今回の講義は、あくまでウェルビーイングを知ってもらうための内容だったため、今後一男塾では、ウェルビーイングをサラリーマンの観点、つまり会社組織の観点から、
- 社会のウェルビーイング
- 組織のウェルビーイング
- 部下のウェルビーイング
- 個人のウェルビーイング
に分解して、より具体的な実現方法や、実現に役立つ実践的なノウハウを講義していきます。
まとめ
今回は、「ウェルビーイング」について、その定義や解釈、実現するために必要となる条件・要素について講義しました。
ウェルビーイングを理解し、体得し、実践することは、人生が充実することであり、仕事ができるようになることです。
また、ウェルビーイングにならなくても良いと思っている人も、こういう概念、考えがあることを知らないのと知っているのとでは、全く違うと思っています。
表面的な内容だけでなく、本質的な部分に重点を置いた講義をしていくので、次回も楽しみにしてください。
〜余談〜
一男は、今後講義していく内容を実践していることで、圧倒的なパフォーマンスが発揮され、ウェルビーイング度も向上していることを実感しています。
一人でも多くの皆さんに、同様の感覚を味わってもらえればと思っています。
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